お墓を守るという事は、かつては当たり前に家督に引き継がれてきた、いわば義務のような存在でした。一時は「長男でないとお墓を継ぐことができない。」という時代もあったようです。しかし、現代において「お墓」ばかりではなく、「家」を継ぐことさえもこだわりが無くなり、核家族化は進む一方です。
そういった状況の中、人知れず先祖の墓が無縁化してきているという実態を知っていただきたいので今回のテーマは「無縁墓」としてお話しをしたいと思います。
2016年3月30日に公開した記事ですが、内容加筆、修正し2021年6月29日に改めて公開しています。
目次
- 「無縁墓」って何?
- 「無縁墓」が増える背景。
- 「無縁墓」はどうなるの?
- 「無縁墓」にならないために。
- まとめ
目次
「無縁墓」って何?
「無縁墓」とは、お墓の承継者や縁故者がいなくなり、管理がされなくなったお墓の事を言います。
基本的には墓地を所有していくにあたって「管理料(費)」を納めますが、この「管理料(費)」の支払いがされなくなったお墓は立て札などで告知し、申し出がない場合には無縁とみなされ、管理者が墓地を処分することが出来ます。
「無縁墓」が増える背景。
「無縁墓」が増加する原因での一つの大きな要因としては、人口の都市部への集中があります。
都心部に生活基盤を築いてしまった跡取り息子(娘)が、将来的に地元に帰り暮らすことは考えにくく、遠方からの場合にはお墓参りに行くのにも費用的・時間的負担がおおきいため、自然と足が遠のくようです。
もう一つの要因としては、「少子化」が挙げられます。
当然の事ですが、お墓を守っていくのは子孫です。子供がいなければ必然的に承継者はいなくなります。
血のつながりがなくても承継は出来ますが、よっぽど特殊なパターンだと思います。
「無縁墓」はどうなるの?
「無縁」になったお墓は当然誰もお参りに来ません。雑草が生えたりコケが生えたりで荒廃していくのが常です。
最終的には管理されていないとみなされ、墓地の管理者(お寺や自治体)によってお墓は撤去され、ご遺骨はすべて合祀されます。
ただし、実際にはお墓の解体にかかる費用などを自治体やお寺さんが負担するため、そのまま放置されることも少なくないようです。
実際には管理者に管理料も入らず、区画を占拠されているためその区画での新たな収入が見込めないため、お寺さんにも自治体にも非常に頭の痛い問題です。
「無縁墓」にならないために
子供がいる世帯は、「子供が継いでくれるだろう。」「子供が継ぐのは当たり前だ!」などと考えず、親子でじっくりと話し合う事をお勧めします。中には「縁起が悪い」などと、話し自体を拒絶する方もいるかと思いますが、人間いつかは「縁起が悪い」事は起こります。その時はもう話ができないのです。転ばぬ先の杖ではないですが、いつかは誰しも通る道です。残された家族に負担をかけないためにも話し合いはいいことだと思います。
また、昨今は樹木葬や散骨、手元供養など供養の形も変化してきています。
自分たちに合った供養の形を選択されるのも一つの手段です。
新しい供養の形はコチラ↓
散骨とは?新しい供養の形にはどんなものがあるの?
樹木葬とは?新しい供養の形ってどんなものがあるの?
まとめ
「無縁墓」については現在の家族の形や、他人とのかかわり・近所づきあいなどとも無関係ではありません。昔と比べ、知人に対しても他人に対しても、人に関心を持つことが少なくなってきているように思います。インターネット・SNSなどの普及により、「知ってる人」は増えているかもしれませんが、本当の意味での人としての「お付き合い」がなければこういった問題も減っていかないと思います。
人を想い、人を敬う心を持って家族・親類などで話し合いの機会を持つことが「無縁墓」を減らしていくのには必要ではないかと思います。