こんにちは!牧之原石材、工事部の大澤です。私は9月から10月にかけて熊本地震復興支援に行ってきました。そこでの体験を元に前回、前々回と熊本地震復興支援で感じたこと、熊本のお墓の特徴、復興支援で実際に行った事を書かせていただきました。今回は「熊本地震から考えるお墓の耐震」という事でこのマキセキブログでも何度か耐震については記載させていただきましたが、今回の記事では実際に起きた地震、実際に復旧作業を行った事からより信憑性、確信が持てる『お墓の耐震』に関する記事、それも今回は破損の原因究明の回としてご説明させていただきます。
前回の記事はこちら↓
目次
- 熊本地震で倒壊、損傷したお墓の特徴
- まとめ
目次
熊本地震で倒壊、損傷したお墓の特徴
①お墓の石が地震で落ちた、損傷してしまったお墓について
上の写真は熊本復興支援初日に作業を行った現場で見た倒壊したお墓です。正面中央の四角い部分がお墓の土台となりますがそこから手前に3つの石が落ちているのがわかるかと思いますが、その3つの石はもともと土台の上にのっていたものです。以前もご説明させていただきましたが熊本のお墓は静岡近辺のお墓と比べて大きくこのお墓もそれぞれ静岡のお墓の2倍程度の大きさがありました。石の大きさだけでも人力ではほとんど動かすことはできないほどの重みですが、この様に石が土台から落下してしまっているのは震度7という大きさの地震だけによるものでしょうか?きっと違うと思います、この崩れた墓石には、耐震用ボンドといわれる石同士をくっつける接着剤は当社で使用している量の半分以下もしくは全く入れられていない、耐震パットと呼ばれる地震の揺れを最小限にする物は使用されていませんでした、。これらがしっかりと使用されていればもっと被害は少かったはずです。このお墓は平成21年に建てられた比較的最近のお墓ですが、しっかりとした耐震が行われていなかったためこの様な結果になってしまったようです。このお墓だけたまたまというわけではなく、いくつかある墓地を回りましたが中には地震の揺れに全く微動だにしていないお墓もありました。
規模の大きいお墓の石でさえこの様に倒れてしまうので、花立や、お墓の横に立っている灯篭など、しっかりと耐震ボンドにて接着されていなければ簡単に吹っ飛んでしまいます。↓の写真の右下に写っている丸い石が完全に崩れてしまった灯篭です。
②お墓の石事態に被害は少ないが、お墓が揺れの影響で丸ごと横滑り等してしまっているお墓について
次にご説明させていただく事例が、①のようにお墓の石が落ちてしまったりして破損等はしていない等、石自体の被害は少ないが、地震の揺れの影響でお墓全体がそのまま横滑りしてしまっているお墓です。
こちらのお墓はお墓の石自体の被害はほぼ皆無でしたが、地震により前に動いてしまっています。後ろから見るとどれだけ動いたかがよくわかると思います↓
③古いお墓の損傷と地盤ごと沈んでしまったお墓について
静岡でも熊本でも必ず建てられてから時間のたっている古いお墓が存在しています、お墓の耐震という事が出てくる前に建てられたお墓、建てられてから何十年もたつようなお墓があります。今回の熊本地震では目にしたそのような古いお墓の被害はひどい物でした。悪い言い方となってしまいますがそこにお墓はありませんでした、石の残骸、お墓だったであろう物が散乱しており、ひどい物ではお墓のどこを構築していた物なのかさえわからないほどでした、古いお墓は現代のお墓に使用されるような固い御影石ではなかったため、元から壊れやすい、年月により劣化、地震の影響が相まって原型を留めていませんでした。また、古いお墓の中には土台がブロックを積み重ねてできている物が複数あり、耐久度はもちろん高くありません。そのような土台がばらばらになっている物もありました。その写真が↓です。この写真はお墓の正面から撮影をさせていただいた物ですがお墓の原型を留めていない事がよくわかるかと思います。
その他にお墓の一番下の基礎の部分、今でこそ地面を一度掘り、圧をかけて鉄筋コンクリートを基本として堅固な基礎を施工している石材店がほとんどですが、適当な基礎工事のお墓や、鉄筋コンクリートの基礎が主流になる以前の基礎のお墓等は地震の揺れによって起こる地盤のずれ、液状化現象により地面からお墓が傾いてしまいます、その一例が↓の写真になります。地盤からお墓が右に沈み込んでしまっています。
まとめ
さていかがでしたでしょうか?今回は熊本地震で被害を受けたお墓を実例として、なぜ地震の被害を受けたのかをご説明させていただきました。比較的最近建てられたお墓でもきちんとした耐震を行っていなければ思いもよらぬ結果を生み出してしまう事がお分かりいただけましたでしょうか?「じゃあどうすればいいの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが具体的な解決方法等は次回の記事でご説明させていただきたいと思いますので是非今回の記事と合わせて閲覧ください。